アカデミー賞授賞式の歴代ベストドレスTOP5

2022年のアカデミー賞のレッドカーペットは、息をのむほど美しいルックが勢揃いしていました。セレブリティ(とその有能なスタイリスト)たちは、華やかだけれども主張の強いオスカースタイリングを目指す一方、デザイナーたちは過去2年間で、ますます知的で幻想的、そして感動的なフォーマルルックを生み出してきたようです。その結果、数多くのセレブがそれぞれのデザイナーの個性が輝くドレスに身を包んで、自信を持ってルックを披露し合ったようです。近年では、初めてのアカデミー賞のレッドカーペットで、少しのリスクを冒すような挑戦スタイルが実を結んでいますが、今年も豪華絢爛なスターが大勢いる中で、特に何名かの女性はより際立っていました。では早速、2022年のアカデミー賞でベストドレッサーに見事選ばれたセレブたちを紹介していきましょう。

ニコール・キッドマン(アルマーニ・プリヴェ)

「アルマーニ・プリヴェ」のドレスが主役のニコール・キッドマンのスタイルは、ただものではありません。まず、ペプラム風のフリルが見事にも上品で、キッドマン自身が好むなめらかなコラムフォルムをキープしながらも、ダイナミックさと気まぐれさがプラスされています。それに、このドレスの色に注目してみてください。ブルーなのか?グレーなのか?アイスブルーのような、ストーンのような、なんともいえない絶妙なカラーです。キッドマンによると、ニュートラルカラーを広めたことで有名なアルマーニ氏に対して、アカデミー賞のレッドカーペットでブルーを着たいという旨を伝えたところ、彼女のためだけにこの色味をデザインしてくれたとコメントしました。

ジェシカ・チャステイン(グッチ)

今年、アカデミー主演女優賞を受賞したジェシカ・チャステインですが、ノミネートされた授賞式に参加するときは、作品の話題に合わせた装いをするのが魅力的だと考えているようです。たとえ、主人公として演じた役がテレビ伝道師タミー・フェイ・バッカーのような完ぺきで物議を醸す、強迫観念的なキャラクターであったとしても、です。チャステインは、タミー・フェイ・バッカーが好むメイクアップパレットのような色合いの、きらびやかで奇抜な「グッチ」のドレスを着こなし、周りの観衆の目を釘付けにしていました。ドレスのフリルも魅力的で、ボディスもまるで手袋かのようにぴったりとフィットしています。まさにタミー・フェイ・バッカーを彷彿とさせるスタイルといえるでしょう。

クリステン・スチュワート(シャネル)

主演女優賞にノミネートされていたクリステン・スチュワートは、アカデミー賞とはいえ、我を貫くスタイルで登場。なんと、授賞式には異例のショートパンツを履いて来場し、また別の意味でアカデミー賞の歴史に名を刻んだといえるでしょう。スチュアートのスタイリストであるタラ・スウェーネンの話によると、「これまでにたくさんのドレスを着てきたけれど、今は何でもできる時代なの。」と発言していたそうです。そんな自由になったスチュワートは、ショートパンツにシャープなテーラードのタキシードジャケット、ボタンを1つしか閉じていないシルクのシャツ、そして首筋に美しく流れるパールのネックレスを合わせ、すべて「シャネル」でトータルコーディネート。ロックンロールな雰囲気が漂うスタイルで、何より恍惚としているように見え、素晴らしいとしか言いようがありません。

ジェイダ・ピンケット・スミス(ジャン=ポール・ゴルチエ)

時折、クチュールコレクションがバイラル化することもあります。クチュールにとっては忌まわしい現象かもしれないが、だからこそ、より魅力的に思われるのです。最近では、ファッション界きってのストリート系ラッパー、ジャン=ポール・ゴルチエと、彼の弟子である「ワイ・プロジェクト」と「ディーゼル」のグレン・マーティンスによる特別なコラボレーションが話題になりました。ジャン=ポール・ゴルチエは、ステキなデニムワンピースをたくさん発表していますが、このハンターグリーンのタフタ製ドレスを着こなせるのはきっとジェイダ・ピンケット・スミスしかいないでしょう。スミスは、シャーリングのボディ部分からラッフルスカートが広がる幻想的なドレスに身を包み、とても美しく威厳に満ち溢れています。

アラーナ・ハイム(ルイ・ヴィトン)

ハイムのアラーナ・ハイムは、クリーム色のスパンコールを何重にもあしらった「ルイ・ヴィトン」のコラムガウンを着こなしました。もうひと目見ただけお分かりだと思いますが、巨大なカポーテのローブはとても上品で美しく仕上がっています。すっきりとした長袖のガウンが、洗練されたモダンで幻想的な雰囲気を醸し出しています。アラーナは、バンドデビューしたばかりの頃は、まだ少女のような顔つきをしていましたが、完全に大人の女性へと成長しました。まさに自信がたっぷりの新進女優と、ジョニ・ミッチェルに夢中になっているザ・カリフォルニアガールの外見をしています。つまり、アラーナは『リコリス・ピザ』で演じた役に完全にはまっているのです。